島が見えたよ

コメント

良原リエ(音楽家)

おかあさんは忙しい。
時間的なことはもちろん、精神的にもいっぱいいっぱいだ。
手を抜くことを少しずつ覚えても、ああ、あれやらなきゃって、
心に何かしらひっかかているから、ゆっくり休めない。
2ヶ月違いでお腹に子供がやってきて、男の子を産んだ私たちはそんな7年間を過ごしてきた。
この7年間がどんなにめまぐるしい日々だったかを、誰よりも知っているつもりだ。

もしかしたら、私たちがあまりにも要領が悪かっただけかもしれない。
そんなに大変なら音楽をやめちゃえばいいんじゃない?と思われるかもしれない。

でも、言葉や音を生み出し、作品に昇華させることは、
子供がやってくる前から続けてきた、私たちの人生に当たり前にあるもの。
子供がやってきたからこそ、自分を保つためにも作り続けたいもの。
作らない、という選択肢はないのだ。

子育ての隙間時間を縫い合わせることは、気力と体力が必要。
きっと何度も心が折れそうになったはず。

『ああ 自由になる時間が羽ばたいてく』

そんな子育ての葛藤が、素直に織り込まれた歌詞についつい涙する。

思うように自分の事はできていないのに、わが子のことを心配してしまう。

『この子の行く道に 四つ葉のクローバー』

『島が見えたよ』を聴きながら、私自身はどこかの時点で、
子育て中だから自分のアルバムなんて無理、と諦めてしまっていたことを思い出す。
自分の時間などさらさらない中で、朝日さんは新しいアルバムをリリースする。
す、すごいじゃないか!と称賛するしかない。

子育てという新しい世界に飛び込み、たくさんの喜びや楽しさを味わう一方、
悩み、葛藤したことで、私たちは人としての幅をぐんと広げたはずだ。
その上で、珠玉の作品たちをこうしてリリースするなんて、
スーパーかあさんだね。もう無敵かもしれないよ!

7年ぶりのフルアルバム。
この7年を思い返しながら、何度も何度も聴き込みたいと思う。

※「ハニカムジカ」主催仲間、ママ友

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